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アンジェラ・アキのすべて

アンジーのインタビュー

2010.05.23


アンジーのインタビュー


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――今回の新曲は、昨年12月の日本武道館で初披露された曲ですね。

「はい。武道館では毎年新曲を発表してきたんですが、昨年は初のギター弾き語りで、この「輝く人」を歌いました」

――でもギターは昔から弾いてたんですよね。


「はい。ファンクラブ限定のツアーでもチラッと弾いたことはありましたけど、あんなに大勢の方の前でっていうのは今回が初めてでしたね。さすがにあの緊張感の中だったから、あまり客観的に善し悪しは言えないですけど、違和感がなかったのはすごく不思議でした。いつもと違うことをやってるとか、挑戦みたいな感じはあまりなくて。ピアノの弾き語りと変わらない、すごくナチュラルなところから出てきてた気がしました」

――この曲はそもそもギターで作ったんですか?


「そうです。ギターで作ってみよう!とかじゃなくて、部屋にいつも置いてあるギターを弾いてたら自然と浮かんできたものなんです。でも私はピアノのシンガーソングライターだから、本来はそれをピアノ・バージョンに直して発表するべきかなって最初は思ってたんですね。でも今年はデビュー5周年だし、思い切ったことをやってみたいなと思って」

――そう。今年はデビュー5周年なんですよね!

「私にとってこの5周年っていうのは、「今までのことを思うと感慨深くて…」みたいなことではなく、<再出発>だなと思ってるんです。再デビューじゃないけど、ここからもう一度って気持ち。だったら、その第一弾となる今回のシングルでは全く違うことをやってみようと思って、ギターの弾き語りにしたんです」

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――レコーディングはいかがでした?

「弾き語りにするなら全部自分のギターでと思ってたので何本か重ねたんですが、これが本当に大変で(笑)。アコギって難しいんだなあって、あらためて思いました。あの疲労感だけは、ピアノとは全く違うものでしたね(笑)」

――シンプルだけど力強い仕上がりになりましたね。

「いわゆるJ-POPのシングルのルールっていうのかな?ちょっと弦が入ってて、ラジオから流れてきた時にパッと聴いてキャッチー!みたいな感じ。そういう、"シングルだから派手にしないと"みたいなのはいらないと思ったんです。私は、思いを届けたいだけだから。"洋服"はいくらでも着せられるけど、やっぱり裸で勝負したいなと思ったんですよね」

――その思いは言葉の面からもしっかり伝わってきますね。今回の歌詞は、2008年に発表された「手紙」という曲で学生のみなさんと交流していく中から生まれたそうですが。

「そうなんです。実はあの「手紙」という曲を持って全国のいろんな学校に伺ったんですけど、学生のみんなと話してる時、どこの学校にも、積極的に話しかけてくる子もいれば、何も言わずにじっと私の方を見てる子たちがいたんですね。決して興味がないわけじゃないけど、ひと言も話さずこっちを見てる。不安や恐れや悩み、そして希望や理想といった、いろんな切実な思いがワーッと渦巻いてるその子たちの瞳を見てると、私はふと、そこに昔の自分がいることに気が付いたんです」

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――言葉を超えて感じたものがあったんですね。


「具体的な言葉や意見になる前の、すごく生々しいもの。感情の原点とか原石みたいなものっていうのかな?かつての自分もそうだったけど、その子たちも今、何かになろうとして、何かをつかもうとしてもがいてたんです。そういう子たちに「"輝く人"は自分の中に必ずいる。この先、上手くいくことばかりじゃないし、壁にぶつかることもたくさんあって、信じられなくなるようなこともあると思うけど、それでも自分の可能性を信じてて」ってことを伝えたいと思ったんです。これは、私自身がいつも自分に言い聞かせてきたことでもあるし、これからの自分にも言い続けたいことなんですけどね」

――自分自身にも。


「はい。いろんな扉が閉じられてしまっても、壁が立ちはだかってしまっても、大丈夫だってことを言い聞かせたい。そういう、大きなメッセージが込められた歌なんです」

――アンジェラさん自身も、何かのきっかけでそう思えるようになったんですか?


「私は大学を出て、介護施設を作る会社に就職したんですね。そこで出会った当時の上司の存在はすごく大きかったですね。彼がかけてくれたいくつもの言葉の中で、特に強く背中を押してもらえたのは「自分に賭ける」っていうこと。何事もやってみないとわからないんだし、サイコロを投げてみないと進めないんだってことを教えてもらいました。彼の存在、そしてその言葉がなかったら、私は自分の夢を手放してたかもしれない。あきらめなかったとしても、もっと遠回りしてたかもしれないなって思うと、本当に大きなきっかけだったなと思いましたね」


アンジーのインタビュー_d0128285_793083.jpg――人生の追い風になったんですね。

「そうですね。しかも漠然と夢を見るだけではなく、じゃあどうするんだ?っていう目標を設定することがいかに大事かを教わったんです。なぜかというと、こうなりたいっていう理想が現実からかけ離れていればいるほど、その夢に対して、人間は"甘えの気持ち"っていうのが出てくるんですね。私はこんな大きな夢を持ってるんだ!ってことに陶酔してしまうから」


――もっと現実的に考えないといけないことは山ほどあるのに。


「そう。だから、今日から1年後の目標、3年後はこうで、5年後はこうっていう目標をきちんと設定していくことで、その甘えを排除していくんだって」

――具体的に、自分自身を見ていくと。


「あの「手紙」という曲は、全てに意味があるんだから、間違ったって大丈夫。そんなダメな自分も信じて歩んでいこうっていうメッセージを伝える曲でしたけど、この「輝く人」には、そこからさらに踏み込んで、自分の中の可能性を信じて生きていく"輝く人"であってほしいという思いを込めたんです。自分と向き合って、具体的に考えていけばいくだけ、未来図や将来の自分というものが見えてきますからね。だからこそ、この「輝く人」は、「手紙」を聴いてくれた人、「手紙」から何かを感じてくれたすべての人に届けたいんです」

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――続編としてのメッセージがあるんですね。


「はい。あのとき私が上司から受け継いだものを、今度は私が歌をとおして広めることが出来たらすごく嬉しいし、このことがまた、自分自身の背中を押す力になったり、さらなる信念となっていけばと思うんですよね」

――"アンジェラ・アキ=ピアノ"という図式が定着した今、あえてギターを持つというその姿勢からも、アンジェラさん自身が発する前向きなメッセージを受取る方がたくさんいると思います。


「これは自分のブログでもちょっと書いたことなんですけど、私は毎日が小さな出発だと思ってるんですね。何か失敗をしても、今が幸せじゃなかったとしても、今日よりも明日、明日より明後日って思う気持ちが原動力になって、前に進めるんじゃないか。それが、人間にとっての希望の根本なんじゃないかって気がしてるんです。たとえば子育てをするお母さんだって、昨日より今日の方が愛情を注ぎたいという気持ちがないと"終わり"だと思うんですね。今回はたまたま5周年っていう区切りではあったけど、こうやってギターを持ったのもそういう出発のひとつなんですよね。なにも、決まった型にずっとはまっていないといけないわけじゃないし、たとえ失敗してもやり直せる。これがだめだったら別のことをやってもいいしっていう、心の柔軟性みたいなものってすごく大事だと思ってるんです。そういう風に捉えてもらえたらうれしいですね」

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――「輝く人」から始まるこの1年。どんな風に歌を届けていきたいと思われていますか。
アンジーのインタビュー_d0128285_737969.jpg「デビュー5周年の今年は、自分にとって<再出発>の年でもあると思ってます。新しいアルバムももちろん届けたいですが、たとえば「手紙」で私のことを知って下さった方にはぜひ1stアルバムも聴いてほしいなと思うし、ずっと応援して下さった方は、私の音楽と一緒に過ごしてきた自分自身の過去を振り返りつつ、もう一度これまでの歌を聴いていただけるような1年になるといいなと思うんですよね。私自身も、少しだけ成長できた自分をもう一度地元にもって帰って見てもらいたいなという気持ちから、徳島での"MYKEYS"(ピアノ弾き語りライヴ)を行なうことにしました。5年間かけて歩んできたこの軌跡を、みなさんと一緒に振り返る機会としての1年になればと思ってます」
by a20050309 | 2010-05-23 09:24 | ★最新更新